抗てんかん薬による治療と薬の種類


てんかんはおよそ100人に1人の割合で発症するとされており、決して珍しい病気ではありません。
特に子どもの発症が多いです。
現在、てんかんには抗てんかん薬を服用することで、約7割の患者さんが発作を起こらなくすることが出来ています。

お子様がてんかんだと診断を受けるとショックだとは思いますが、発作もなく抗てんかん薬の副作用もなく、社会で活躍している人もたくさんいます。
正しい知識を備えて、治療を受けることが重要です。

抗てんかん薬は、発作の種類に応じて選択されます。
まずは1種類の抗てんかん薬を少量服用します。
眠気やめまい口の渇きなどの副作用が出ることがあるので、事前にそのことをしておくことが大切です。

部分発作の場合に最初に使う薬は、カルパマゼピンが一般的です。
カルパマゼピンで様子を見て、充分に効果が現れない場合は、パルブロン酸ナトリウムや、ラモトリギン、プリミドンなどの抗てんかん薬に変更します。

全般発作の場合は、最初はバルプロ酸ナトリウムが使われることが多いです。
これらで充分な効果が得られない時は、ラモトリギンやレベチラセタム、クロバザム、プリミドンなどの他の抗てんかん薬と併用します。
カルパマゼピンは欠伸発作や脱力発作がある場合は、却って危険なこともあるので使用しないことが大半です。

部分発作であれ全般発作であれ、発作が起こった時は、発作を止める薬を使います。
発作止めにはジアゼパムと呼ばれる種類がよく使われます。
学校などには養護教諭などに預けておき、発作が起きた時には使えるようにしておくと良いでしょう。

ゾニザミドは、1989年に日本で開発製造された薬です。
部分発作にも全般発作にも使われています。
ゾニザミドの作用機序はカルパマゼピンと似ています。

その他のてんかん治療薬には、フェニトインがあります。
フェニトインは古くからてんかんの治療に使われている薬の一つです。
部分発作や強直間代性発作によく使われます。
但し、量を増やしていくとある時点から急に作用が強くなるという性質があり、少々使いにくい点があります。

フェノバルビタールは、一昔前はてんかん治療の主役的な存在の薬でしたが、長期間使うと強い眠気等の問題があることや他の良い薬ができたことから、今はあまり使われなくなりました。
フェノバルビタールを好んで使う医師は、おそらく高齢な医師でしょう。

その他に、2007年より販売されているトピラマートという薬も、部分発作のセカンドチョイスとして併用されています。

近年は、次々と新しい薬も出て来て、一昔前とは比べ物にならないくらいコントロールが可能になりました。

てんかん治療の理想のゴールは3つの問題の解決である

てんかん治療で大切なことは、発作が起きないようにすることです。
また、子どもは成長に伴って体重が増えたり環境が変わったりします。
それによって今までの薬の量では効果が不十分になることもあります。
成長期のお子さんの場合は、2カ月や1か月の間でも身長も体重も大幅に変化します。

お子さんの成長に伴って、薬を適切な量に増量することが大切です。
そのためには、必要に応じて血液検査で薬の効果や副作用を確認することが大切です。

高校生くらいになると、日々の生活が忙しくなり、発作が起こっていないのだからとついつい薬を飲むことを忘れてしまいがちです。
発作が起こらなくなっても、いきなり薬を止めるのは危険です。
2年くらいかけて医師の指示で徐々に量を調整して行きます。

成長してから再び発作を起こすと、進学や就職にも影響が及ぶことがあります。
薬を止めるかどうかの判断は、慎重に行うことが大切です。

中には、極少量を安心のために飲んでいたい、もう絶対に発作を起こしたくない、という患者さんもいます。
長年薬を飲んでいると、中止するのは怖いという患者さんも少なくありません。
担当医とよく相談して、慎重に決めることが大切です。

てんかんの治療では、お子さんの成長に合わせた薬の増量、発作が起こらなくなってもすぐに薬を中止したり勝手に薬を飲むのを止めないこと、進学や就職の際に薬を止めるかどうかの選択、といった3つのことが非常に重要になってきます。

また、就職後に一人暮らしを始めるようになり、忙しさで通院が疎かになり発作を越してしまうケースも多いです。
今まではきちんと通院していた人も、平日は通院しにくいなどといった問題が出てきます。

長年診て下さっていた主治医の方が安心かもしれませんが、通院できないのでは何もなりません。
社会人になると、夕方も診療してるところ、土曜日の午後も診療している所などという条件を優先しなければならないこともあります。

人生は色々な選択の連続です。
治療を行っていく上でも多くの選択をしなければなりませんが、担当医としっかりと相談してください。